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看板を外した座談会#1

「2050年のモビリティ」を開催

2018年10月27日

○ 名城大学 社会連携ゾーンshakeにて20:00-22:00にて「座談会」が開催されました。

event information

  • 100年に一度の変革期
  • 実際に潮目は変わったのか?
  • パラダイムシフトは確実に起こるのか?
  • モビリティの定義はどうなるのか?
  • モビリティ社会はどう変わる?

talk members

未来創造 代表理事 mizuno ksk

未来創造 理事 武田雄一郎(Yuichiro Takeda)

未来創造 理事 古仲 大輔 (Daisuke Konaka)

未来創造 理事 大槻将久(nobuhisa.otsuki)

今回の座談会はmizuno ksk(以降ksk)がモデレーターとなり、車業界で普段働いている3名のパネラー(以降、武田、古仲、大槻)が看板を外して今後の「モビリティ社会」の話し合いが行われました。

1, 100年に一度の変革期

ksk :

今日は、未来創造の理事が集まりそれぞれの知見のある「モビリティ」の未来について話せる機会。非常に楽しみにしていた。少し話を進める前に、モビリティに関する歴史や時代背景を説明したい。

Newyork in1900

まだ馬車が多く走っている時代。写真を見て分かるように車は一台も走っていない。この当時の移動手段の主流は「馬車」であった。

Newyork in1913

フォードが出てきてパラダイムシフトが起きた。 馬車が世界の移動手段を牽引し始めたのは1400年頃の話だ。車はたった13年で社会の状況が変えてしまった。

世界は、今この瞬間も大きな変革期にいるのではないだろうか?

AIによる変化の音を感じる。

現代での車に対する価値観も変わってきている。消費社会から変容がもたらされつつある。昔は車が一つのブランド価値やステータスを意味していた。現在の車に対する意識は、乗れればいいという移動手段としての価値観に変わってきている。ものづくりから「体験型」の時代へと移行している。

テレビや携帯というものから、ソフトコンテンツ、プラットフォーム型のビジネスに変わっているのと同じように、モビリティも移動する車が主体ではなく、ソフトの面が重要になっていくかもしれない。

モノ(ハード)からコト(ユーザー体験(UX))への価値になっている。

もしかしたら、車がスマホ化する可能性があるのではないか?とさえ感じる。

100年に一度の変革期というのは起きているのかどうか?

看板を外しているが、車産業で働いている皆様とお話が出来るのが面白い。

武田:

私も、車は今までそれだけで成立していたものであったが、それだけでの価値では無くなっていくと考えている。移動する「手段」でしかなくなる。きっと電車とかと横並びになる。

KSK:車産業って今後どうなると思う?

武田:大量消費的なものと、プレミアムブランドと2極化していくだろうね。

KSK:総台数は減っていくのでは?

古仲:車の総台数が逆に、増える可能性もある。一つの手段ではあるから。ITの普及によって、車のあり方も変わっていく。金額が下がりより手軽な移動となれば「台数」は増えるというのもあり得る。

大槻:私は「増える」と考える。中国のモバイクみたいな形。UBERとか?どこにでもある状態というのが増えていく。究極までにシンプルになり、いかに安くになっていくかという競争になる。

電動化もシンプルになるには、必要な要素。

そういう世界になっていきそう。ただ、高級嗜好品としては残っていくので今の車の概念は、高級志向に移行するのではないか?

KSK:PHEVについて考えていること。2030年25%→ 2050年:100%(未来予想は、電気自動車でないと売れなくなってくるかも)車の家電化が進んで行くのではないか?第3世代、最初の1台目はPHEVとなっている。

古仲:中古車には、ガソリン車が入っているよね。

それより安い電気自動車が出てきたどうなる?もっと増えるのではないか?それを加味しているのかにもよる。2050年で100%になるかは、新車だけでなく、中古車など多角的に議論していきたい。

KSK:そうだね。マクロで計算するとどうなるのか?という観点も考えたい。インドや中国が今後マーケットとして増える。

台数が増えてもマーケット規模の大きさが変わって行くかもしれない。

シェア文化が形成されても、車の所有はより加速して行くのか?

2, 実際に潮目は変わるのか?

KSK:車と自分 = 手段となる

IT産業は生活が中心(手段との違い)

古仲:

移動の手段は、もう車でなくてもいい。だから車という表現を私達、未来創造はあまり使わない。

モビリティという表現を使っている。

必須なのか?というのはあるけれど、ガソリンが枯渇することも考えて電気化が生まれているし今後も進んでいく。政治的な兼ね合いもあるだろうね。

KSK:2017年に中国が作った原子力発電所は100基以上ある。今から電気がどういう方法で賄えるかという問題はあるが、世界の中心は「化石燃料」から「電気」になっているよね。

武田:とはいえ、原子力によりエネルギーが余れば、液体燃料が作れるようになり、潜在ニーズとのマッチングの可能性もある。 実はエンジン製造には相当な技術やノウハウが要求されており、電気だけでなくエンジンが変わるメリットもあるはず。

大槻:政治的な兼ね合いや化石燃料の話も出ているけれど、電気自動車のストーリーってそんな理性的なのかな?人は感情・本能的に臨んでいる方向へ流れるだろうか?

KSK:それは、マーケットの動向にもよるよね。

内燃機関で作られたものより、「環境負荷と安さ」が一番の理由なのでは?

古仲:自己肯定感、安い、自分の生活が困らない。

3つの要素が重なると、EVの方がニーズに答えられる。乗れればいいという状況になっている一部の人にとってはいい。私は、今東京に住んでいるので、正直走れる喜びはあまりない。静かな方が喜びになる。

3, パラダイムシフトは確実に起こるのか

KSK:化石燃料の車時代に、限界が見えてきている。

アナログでの非効率な生産性という限界を感じている。世界の人口が増えてきた。インターネットが社会に普及したタイミングは大量消費社会に合致していた。タイミングがマッチしていたのだと思う。これが速すぎたり遅すぎたりするとまた適合性が産まれない可能性もある。

変化点、今はどうか? 社会的な必要性はどこまで産まれているのだろうか?

ハードディスクを例に取ってみると…。

世の中は、CDデータで取り扱うというニーズや文化はなかった。しかし、フロッピーディスクとかが普及し始めてきたから、ハードディスクが受け入れられるようになった。

今までは、まだ電気自動車がどのように受け入れてられるかが分かっていなかった。今後は受けれていく状態になっているのだろうか?

古仲:移動に楽しみを求めなくなってきた。自分の車でなくてもいい。物流のスピードで言えばAmazonが出てきたことで直接買い物にいく機会も減っていくね。

KSK:車業界のディスラプター(破壊者)にAmazonはなりえる。これは移動の概念を変えるはず。

古仲:Amazonって移動(物流)のソリューション。プレミアム会員とかの機能により、人の移動という概念が変わる。だから「移動」における価値観を変化させているよね。

大槻:確かに、他にも人件費の削減等のメリットも非常にある。人が動かない方が、生産性は高い。ビジネス側が動く。

古仲:トータルのエネルギー損失は、どちらの方がいいのかは微妙なところ。

人が動かずに物が届くのか?人が買いに行くのにかかるエネルギーはどれくらいあるのか?

電車乗って、通勤・通学の途中で物を買っているのではあれば、そっちの方が効率的とも考えられる。エネルギーとして本当に効率的になっているのか?人が介在しなくなっていった時に判断されるかもしれない。社会的な経済損失は語り得ない。現在は効率が悪いのかもと定義できるかもしれない。

KSK:電話でしないで今日古仲さんがなぜ、東京からここに来ているのか?一緒に会うから価値になる。足を運ぶから価値があるものもある。

今は、ニーズが「技術」を待っている。

つまりまだマーケットの期待には答えられていないんだよね。

4, モビリティの定義はどうなるのか?

KSK:精神を動かすというのはどういうこと?

ポイントは、必要な時間に必要な情報を届けること。

KSK:モビリティの定義って?インターネットが出ててきた時代だから、再構築は、インターネットとセットして考えないといけないよね。

古仲:データを運ぶっていうのもモビリティーだよね。

大槻:全ての人と物の移動と捉えているかな。

武田:私が考えるモビリティの定義は、「コミニケーションのツール/インターフェース」。人と人を移動により繋げているだけでなく、一緒に移動している空間や場も含んでいる。意思と意思の交流って意味では、言葉もモビリティーの一つじゃないかな。

KSK:共感価値というのを「モビリティ」は実現してくれているよね。

武田:体験の提供は、個人向けではないかな?VRとかで、体験から共感に変わってきているよね。車で移動するというのは「フィジカルでの繋がり」で共感を感じている。

KSK:そこで問題、月9の映像をみているのは共感と言える?

武田:共感としては薄いかな?強い共感ではないような気がする。インスタグラムとかでのトランスポーテーションだと定義には入っている。

古仲:共感の価値観が違うのではないか?自分達の持っている価値観が違う。

KSK:面白い調査結果がある。若者と、おっさんとでサッカーを見に行ってた。若者は現場で直接落ち合う。おっさんは一緒に行く。この違いは何だろう?

武田:おっさん達はLINEとかはしているの?その一緒に過ごしている時間を大切に思っているという価値感の人は、移動しながらお互いに「LINE」とかでコミュニケーションが出来れば、価値変換できそうな気がする。私は昔、ネットでのコミュニケーションにどっぷり浸かっていた。モビリティの価値観の定義は、そういう情報の差にもあるのかもしれない。

5, モビリティ社会はどう変わる?

KSK:

社会の変化とともに「クルマ」業界はどうなる?

また産業に特化している西三河は焼け野原になるのはと思うがどう考える?

KSK:部品件数とが電気自動車への転換により減ると、三河企業は成り立たなくなる。また車部品の生産は、他産業からの参入があるかもしれない。

古仲:欧州とかの電気自動車のマーケット規模は、最初のタイミングで、日本のマーケット規模を越えるだろうから中国は、そこにターゲティングをしているのではないのか?

武田:インドでは、車の安全性に対する意識が日本とは全然違う。安全性も大事だが、それ以上にコストや質感を重視しているイメージ。良くも悪くも死が身近に存在しているインドに比べると、日本は死に対して畏まりすぎてない?

KSK:中国では、自動運転で今事故が起きても、今後の事故率が変わるなら良しとする価値観がある。そういう価値観の違いが、日本の開発動向と方向性を隔てているかも。

古仲:地域特性がある。UBERなどのサービスが拡大すると、人は車買うという概念がなくなるかもしれない。

KSK:コンパとか15年前の若い時を考えると、ベンツに乗っているとかでないとだめだった。車が一つのステータスであった。今は、軽自動車でもいいという価値観(お金を使わない方が美徳という感じすらある)この話の中で価値観の変遷を感じる。社会科学の受け入れ口では、車の出口が変わる。

古仲:考え方の中心に車がある。愛知はそれが強い。車が中心になった都市開発になっているよね。

KSK:この地域は、車のライバルは車だと考えている。それは誤り。車のライバルはインターネット。この思考を変えないと三河地域は勝てない。

武田:思考は変えないといけないと思う。ただ、ジェネレーションで区切ってしまっていいのかな?

古仲:まだ収益性が高い状況だから、相対的に過去の成功体験から抜け出せない会社も多いのではないか。潮目は変わっているのだけど、顕在化していない。声の高い人は、このままでもあと5年10年は行けるんじゃないかと考えている感じがする。

KSK:UBERが競合ではないと考えていると弱い。アマゾンはEコマースだなと感じている人もいるだろうね。実際、売上にこだわっているのかな?

武田:金を稼ぐというのは会社として最低限やらなければならないこと。そこを追い求めているのは健全でもあるとは感じるよね。

古仲:AIが、売れなくても継続して開発をやってきたから中国は強い。利益ではなく、将来的なビジョンが強かったのでは?

赤を掘ってでもやれる継続性は大切。昔2位じゃダメなんですか?というのがあったけど、それはナンセンスだよね。一番を取りに行くには、赤も大切。

KSK:自分の世代だけしか見ない人がいるよね。我だけがいいという気持ちになるのかな?

古仲:課題の一つ。日本は大企業思考がある。オープンイノベーションは、東海地区の会社だけでは活かしきれていない。

大槻:人材の流動性が上がると、潰れても違うところに行けばいいという就社ではなく、就職という考え方になると思う。

古仲:モビリティが、今の価値観を壊し、他の価値を産む。

それを変えるのに「未来創造」の価値がある。今は、変わる雰囲気がある。就職するという選択肢以外にも目を向ける。ジャイアントキリング、世の中に対してより便利な社会が生み出されていく。スタートアップVS大企業という構図では語り得ない。一番は世の中にとって一番良い方法に選択をされて行くのだから、もっと自由な職業選択が進んで行くだろうね。

KSK:今回は、時間が足りなかったな。

またこういう面白い話を続けていきましょう!

 

 

編集後期:

この内容を読むだけで時代の変化や未来を創造する肥やしとなりました。次回が楽しみ過ぎるイベントでした。

次の記事にも乞うご期待。